しょぼい起業家が綴るあったらいいなのお話です。
(登場人物は、実在の人物ではありませんフィクションです)
第一話・・・・・・・・・・・・・・
お遍路さんが歩いていく。
四国の道を車で走っていると、風が強い日も雨の日も
もちろん良い天気でも白装束のお遍路さんに必ず出会っていた。
若い人もいれば、年配の人もいて
男性も女性もてくてくてくてく歩いていく。
歩き遍路 と 地元では呼んでいる。
四国八十八カ所のお寺を巡って約1300kmの道を歩く。
なんのために?なぜ?どこから?歩いてきたのだろう?
私は おへんろさんに興味をもち、
機会があれば話をしたりしていました。
地元ではお遍路さんにあまり話をきいたりするものではないという。
らい病などの感染症を患い、村八分にされた人が、道中で死ぬことを期待されて辿りつく場所だったとか・・・
それでも地元の人はお遍路さんを受け入れきた
その歴史から
つらいからお遍路をしているのだから、むやみやたらと悲しいことを思いださせるようなことを言うべきではない・・というひともいる。
また
お遍路さんは弘法大師と一緒に やってくるのだから
お遍路さんに施しをすることで、自分の代わりに御経を唱えてもらえる。
お遍路さんは、
仏さんに通じる人というような意味合いをもち、お遍路さんが来たらお金を渡したり米を渡したりもする習慣もあったそうです。
そんななか
よそ者の私は
お遍路さんに平気で話しかけ
お米はもちろん、お金を渡したりしたことはありません。
1300キロを歩くお遍路さんが今も大勢いることに興味をもった
ただそれだけです。
今日は
道に迷ったお遍路さんのお話です。
真っ黒に日焼けした目の大きな女性。
のりのかかったキレイな白装束を着ている
地図をみつめながら、なんどもためいきをついていた。
それはとっても わかりやすく 「迷っています」という風情でした。
そこで、「遍路道をお探しですか?」と声をかけました。
「はい すっかり 道に迷ってしまって。。。。
五台山竹林寺へ行きたいのですが・・・」
5月の高知県の日射しはとても強く、
見上げる空は朝から澄んでいました。
「よかったら 一緒に 行きましょう
竹林寺には、ひとこと地蔵があるので、私もお参りに行きますから良いですか?」
「はい もちろん 助かります。
ひとことじぞう?ってあるのですか?」
「はい ひとことだけ 願いをかなえてくれる
お地蔵さんがあるんですよ。」
「へえぇそうなんですか」
「それからね北という文字の入った猫が来てから急にお金持ちになったという
北村さんが建立した猫の地蔵さんもあるんですよ、招き猫 平成版です。」
「へぇえ・・そうなんですか。。。」
「まぁ ごりやく目当てでお遍路はするものではないのでしょうが
私はごりやく目当てで時々こうして遍路道を歩いて竹林寺に行くのですよ。」
と 自己紹介をしてみた。
同行二人と書かれた日傘の下から
白い歯がみえた
車が行きかう国道を抜け、民家と田んぼが
小学校の図工の時間に書いた構図そのままに目の前にひらけてくる。
「いま 大きな蛙がいましたよ。」
と お遍路さんのほうから話かけてきました。
「殿様蛙でしょうかね?」
「牛ガエルではないですかね?」
「殿様」と「牛」では、ずいぶん 雰囲気がかわりますね
と2人でまたしばらく黙って歩きました。
グーグー とか モーモーとか
蛙の声にしては、「どす」のきいた音が響く。
牛蛙っていうのは戦後食べるものがなかったときに
食用にするために輸入されたという話をきいたことがあることをふっと思い出した。
もしかすると ステーキにすると美味しいから
牛ガエルと呼ぶのでは?と
言ってみようとしたがやめた。
お遍路さんは 名前を 恭子さんといい
埼玉県からきた、32歳で事務系の仕事をしているそうだ。
大学を卒業して大手企業の事務職で10年。
有給休暇が長くとれたので、お遍路に挑戦してみているということを話してくれた。
どうしてお遍路しているのか?
きいてみたかったが
きけなかった
民家を抜けると 山道にさしかかる
遍路道は歩きやすいように丸太で階段をこしらえてあったりする。
草刈りもされていて
山道を登ると高知市内が一望でき、気分が良い。
昨日室戸を出て赤間で泊って今日は高知市を歩く予定だそうだ。
恭子さんは、朝からすでに30k近く歩いているのだ。
五台山のふもとから一緒に歩きはじめた私でも
登り道は勾配がきつくかなりしんどいのに
恭子さんはペースを落とすことなく黙々と歩く。
時々
風が気持ちいいですねぇ
とあたりを見回しているようだ。
そのたびに
この遍路道の入り口は、地図ではわからなかったです
ありがとうございます
と 言ってくれた。
ごりやくを目当てでお寺に参りたかったが、道中1人が寂しいから
お遍路さんを道連れにしちゃった
とはいえず
照れ隠しにもういちど
「一言地蔵に一緒にお参りしませんか?
ひとことだけ願いをかなえてくれるそうですよ」
と いってみた。
恭子さんは
ひとことだけって難しいですね
たとえば 幸せになりたい!って言っても
今 幸せと思えないならどな状態でも幸せって思えないでしょうしね。
お金がほしいっていっても
いま お金もらうために仕事していたら お遍路できませしね
ひとことでまとめるって難しいですね。。。
と
ニコニコしている。
まず
「百万円欲しい」と一言願ってみようとしていた私は赤面した。
そうだよね
百万円欲しいなら百万円の仕事すればいいわけよね。
幸せになりたい!
って今十分幸せじゃないか。。。
良いお天気の下、風に吹かれて良い気分で五台山へ登ってしかも
話相手つれて、そのうえ
ついでにひとこと願いを唱えて帰るなんて・・・
くるしゅうない よきにはからえ の とのさまみたい
こういうのを 「とのさまかえる 」
というのかもしれない
うしっしと笑いながらかえる でも いいかもしれない
第一話終わり